メガバンクの一角である三菱東京UFJ銀行が、現在は廃止している従業員の制服を来年度中にも復活させることが分かった。営業店の窓口で顧客と接したり目に触れたりする可能性がある男女従業員、約1万4000人が対象だ。

約5年ぶりに制服が復活となる三菱東京UFJ銀行

今年9月、三菱東京UFJ銀は百貨店やアパレル、商社など約30社を集めての大規模な説明会を行い、デザインなどについての要望を伝えた。来年10月末にも新しい制服が納品される予定だ。

1万着を超える大規模なオーダーということに加え、制服は一度受注をすれば継続的な追加注文が見込めるおいしい商売。アパレル業界では争奪戦が熱を帯びている。

三菱東京UFJ銀の制服は廃止と復活を繰り返してきた歴史を持つ。前身の旧東京三菱銀行時代だった2001年には、制服の着用義務を廃止して新たな支給についても取りやめた。バブル崩壊後、多くの企業が制服を廃止した時期と重なる。経費削減効果と共に銀行のお堅いイメージを和らげることも意識されたようだ。

しかし、旧UFJ銀行と合併するに当たり、新銀行「三菱東京UFJ銀行」としてのブランド確立や一体感を醸成する狙いから、06年に制服を復活させた。その後、その役目を終えたとして10年12月末に再び廃止して現在に至るが、16年1月にも再復活させ、新たな制服をお披露目するのだ。

三菱東京UFJ銀は、新制服の着用対象となる従業員の中でも大部分を占める女性の新制服について、女性自身の意見を尊重する考えを発注先候補の企業へ伝えている。「デザインは実際にその制服を着ることになる女性に選んでもらう」(三菱東京UFJ銀関係者)方針だという。

制服を再度導入することで従業員のプロ意識、モチベーションを向上するとともに、顧客満足度も高める狙いがあり、「エアラインのキャビンアテンダントのように、憧れの対象になるくらいの制服にしたい」(同)と意気込む。

東急百貨店が本命か

「やっぱり、東急が優位なんじゃないか……」

前述の説明会に参加したある企業の関係者は、そんな少し弱気な見立てを語った。というのも、06年に制服が復活した際に今回と同様のデザインコンペを勝ち抜き、三菱東京UFJ銀の制服の納品を請け負っていたのが、東急百貨店だったからだ。

また、東急百貨店のメインバンクが三菱東京UFJ銀であり、苦しい時期を支え続けてきた経緯は知られた話で、そうした点もそんな観測に真実味を与えている。

とはいえ、このビッグディールをみすみす取り逃がすわけにもいかない。三菱東京UFJ銀は、12月下旬には新制服の発注先を決定する方針で、アパレル業界ではもう一つの“年末商戦”がこれから本番を迎える。

2014/11/28 ダイアモンドオンラインより