大手銀行の間で、他行と差別化した住宅ローンの商品設計や付帯サービスを競う動きが広がってきた。消費税増税前の駆け込み需要の反動で落ち込んだ住宅需要を喚起しようと、疾病保障の拡充や家事代行などを一体で提供。株高を背景に資産運用とセットで相談に応じる休日拠点を増やすなど、金利一辺倒だった競争が転機を迎えている。
代表的な期間10年固定型の借入金利は、直近で年1.3%と過去最低水準で推移する。しかし、三菱東京UFJ、三井住友、みずほの三大銀行は低金利による負担の減少を前面に打ち出す営業方針を転換し、付加サービスなどで独自色を競い合う。
みずほは9月に屋根に太陽光発電を取り付ける新規住宅の融資審査で、太陽光で得られる売電収入見込み額を年収に合算できる手法を採用した。融資可能額が増えるため、同行は「身近で取り組める環境保全を後押しし、新規取引にもつなげたい」と狙いを説明している。
また、地震で家屋が全壊した場合、家屋のローン残高を半額に減らす三井住友の商品が支持を広げている。借入金利に年0.5%上乗せされるが、残った半額のローンにも地震保険が適用されるため、家屋部分の返済負担がほぼゼロになるのが特長だ。
金利以外の工夫は、返済中の病気への保障付き住宅ローンにも広がる。三菱東京UFJは、本人が糖尿病や肝硬変を含む七大疾病になった場合の保障に加え、親の介護が必要となった場合に一時金100万円を支払う特約を設けた。 
女性の社会進出支援に沿った商品設計も増えてきた。りそな銀行は、女性向けに頭金を不要にしたり、金利優遇幅を厚くしたりしている。新生銀行は新たに共働き世代向けに、一般の保育所などに預けられない子どもを見る病児保育や家事代行を手掛ける提携業者のクーポン付き住宅ローンを始めた。借入時の手数料は割高だが、首都圏などで新規契約件数の2割を占めている。
2014/10/15 時事ドットコムより